本稿の『第3章・動物たちを放つ』で、本書はクライマックスを迎えます。私自身も長年の課題をようやく解決することができました。というのも、この作品のモチーフは初期の村上作品に何度も引用されていて、ここを通らずして『自称 村上主義者』を名乗れない(と勝手に思っている)重要な要素だからです! それでは、1960年代の若者たちの生きざまを描いた名作の最終章をご紹介します。 《あらすじ》 ノートブックを読み終えたグラフは、恋人のガレンと共に再びバイクの旅に出る。動物園破りなど不可能と思いつつも、ジギーの言葉が脳裏から離れない。その計画を然るべき形に収めようと決意を固めた二人は、夜の動物園に忍び込んだ。最初…