3 近代物理学の大原則となった「物心二元論」 石川氏は、科学の特徴は、物理学が自然科学の考え方の基礎になっているという点に由来しており、物理学の本質的な意味を知ることは、科学の本質を知ることにつながっていると指摘し、その出発点が「物心二元論(物と心の分離)」にあることを、次のように述べています(『ニューサイエンスの世界観』)。 物と心の分離 近代的な物理学の出発点は、自然現象と「心」を完全にきり離すことから始まったといってもよい。自然現象は、人間の意思や心の動きとかかかわりなく起こるものであり、自然現象自身の中にも、人間の心のようなはたらきがあるわけではない、というのが近代物理学の考え方である…