臨床を支えることば その2 われわれは対象が持っている問題と対象に関する専門家側の知識、経験をゴッチャにしてしまうことがあります。例えば、車のエンジンが動かない。修理工が「修理不能です」といった場合、本当に修理不能の故障なのか、修理工にそのための知識と経験がないだけなのかをゴッチャにしている。修理不能はウソではないだろうが、大きな違いがある。腕のいい修理工なら直したかもしれない。「この子はことばが出ないでしょう」という場合も同じです。療育者の知識不足と経験不足からのことかもしれない。療育にたずさわるセラピストは、自分の知識と経験の範囲を客観的に正確に自覚することが必要です。とくに、自動車ではな…