つぎの日、ニャン太はいつもの散歩道を歩いていた。ネコの散歩とはいっても、要は自分の縄張りの点検だ。 どこか知らないよそのネコが来ていないかどうか確かめる。クンクンあちこちかぎながら、縄張りを歩く。ネコの散歩は大真面目なのだ。 これをちゃんとやっておかないと、後々、面倒になることもある。うっかりする。よそのネコに縄張りを取られてしまうことだってある。だから、気楽なネコの散歩、なんていってはいけない。 なかなか大変で、ニャン太とはいえ、ネコの散歩とはいえ、けっこう大真面目なのだ。 「うん、よしよし」 ニャン太は、一本の電柱に鼻をあてながら、ひとりごとを言った。幸いにも今のところ、変わったニオイは発…