「狼一匹を駆除するごとに、三円の報奨金を約束する」――。 そんな布告を北海道開拓使が出したのは、明治十年のことだった。 (Wikipediaより、開拓使札幌本庁舎) この当時、一円の価値は極めて重い。小学校の教員の初任給が九円前後の頃である。たった三匹仕留めるだけで、公務員様の御給金に届いてしまう。まずまず破格といっていい。 ところが「お上」の気前のよさは、未だ序の口に過ぎなかった。翌十一年、開拓使は報奨金を吊り上げて、なんと狼一匹ごとにつき、現金七円をくれてやると宣言している。 現代貨幣価値に換算して、およそ十四万円だ。 独り身で、質素倹約を心がければ、一ヶ月は喰いつなげよう。 あの害獣をぶ…