社会と関わるものとしての現代美術 現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル (中公新書) 作者:山本浩貴 中央公論新社 Amazon 2019年に刊行された中公新書『現代美術史』は、自身も現代美術作家であり現在は金沢美術工芸大学で教鞭をとる山本浩貴による、現代美術の歴史を理論的に概観できる一冊だ。 19世紀末から20世紀初頭に起こった種々の芸術運動を前史として押さえつつ、主に1960年代以降の現代美術の流れを、多数のアーティストや運動を紹介しながらまとめてくれる。 また後述するが、著者が注意を向けるのは現代美術の地域的な多元性だ。「欧米、日本、トランスナショナル」という副題が示す通り、本書は…