母から、この家から、逃げよう...しかし、その当時の私には逃げたくても何をどうしたらよいかわからなかった。 小さい頃から、自分の考えを否定され、親の喜ぶ顔が見たい、愛されたい一心の私は、全て母の言われたとおりにしてきた。その結果、もはや自分の意思があるようでない、決断ができない人間になっていた。 進路は、私が事故で両足が麻痺してからというもの、一貫して弁護士を目指せとの母の命令(もしそれ以外の職種を選択するなら家から追い出す決まりとなっていた)、司法試験の勉強以外で話があるのなら、すべて母の許可を得なければならない状況にまで自分は縛られていた。 家のスナックをホステスとして手伝う自分が、お客さ…