1960年代以降、日本の農家のくらしはずいぶん大きく変わった。その一つが家畜のことである。かつての日本の農村では、なにがしかの家畜を飼う家が多かった。馬、牛、山羊、豚、鶏などだ。それぞれの飼育数は、家畜種、農家の経済や家族数、耕作する田畑の規模などによって異なった。馬だけ、牛だけの農家があれば、複数の家畜種を飼う農家もあった。貧しくて飼えない家もあった。 作物栽培のかたわら少数の家畜を飼うのは、その時代の理由があった。 理由の一は、作物栽培の余りものを無駄にしないで餌に使い、乳や卵、鶏肉などの自給食料を得ること。動物タンパクを自給することは農山村のくらしにとってとても有益だった。肥育した豚や卵…