会社員として日々働きながら、短編・中編作品を制作し続ける映画監督・田中晴菜。 「生人形」を題材とした『いきうつし』(2018)はあいち国際女性映画祭、Kishhh-Kishhhhh映画祭の短編部門でそれぞれグランプリを受賞、傘を通じて人々の記憶が交わる様を描いた『ぬけがら』(2020)は第38回トリノ映画祭国際短編コンペティション部門にノミネートされるなど、国内外の映画祭で高い評価を得ている。 映画制作に不可欠ながらも、現代の映画界では多くの人々が見失いがちな「人々の記憶・心・世界を拾い集める」という行為を、誰よりも誠実に続けている田中監督。彼女が手がけてきた作品たちが描いているのは、かつての…