昧爽の迷宮へ(11)← →昧爽の迷宮へ(13) KBSテレビドラマ『暗行御史――朝鮮秘密捜査団』より。 男寺党(ナムサダン)の演芸はお開きとなった。黒い両班(ヤンバン)帽を裏返しに持った座員たちが、村人のあいだを回って投げ銭(ぜに)を集める。 ここで、通常の男寺党ならば、座員のうち子どもから若者までを村人に貸し出して「夜伽ぎの銭(ぜに)」を稼がせるのが習わしだったが、茶山は厳重に禁止していた。それは士人(ソンビ)の潔癖さのためばかりではなかった。一行(いっこう)には、“敵”の差し向けた暴漢が、いつなん時襲って来ないとも限らないのだから、もしも襲われた時に若者が出払っていたら、甚大な損害を受ける…