中国を起源とする武術のこと。
中国では拳術、国術とも呼ばれ、英語では"Wu-shu"または"Chinese traditional martial arts"と訳される。
「中国拳法」や「カンフー」と書いた方が日本国内での通りはいいが、「中国武術」の方が実像のものに近いため、修行者や愛好家はこの表記を好む傾向がある。
以下はいくつかの簡単な分類。
長江(揚子江)を境にして、北側で発展したものを北拳(北派)、南側で発展したものを南拳(南派)と称する。
「南拳北腿」と言われ、「南拳」は拳の技、「北拳」は足技の種類が多い。これは、南部が河川の多い地域で、不安定な船上で両足を踏み締めたまま両拳で戦うことを想定したものであり、北部は広い草原地域で、馬上の戦いや地面を跳びはねて戦うことを想定したものであったためとされている。
また、南部は気候が暖かく薄着の衣服であり、北部は寒冷で厚着であった。このことも技の内容に違いを作る要因になっている(南拳では外皮を硬く鍛える鍛錬法が充実しており、北拳では衣服の上からダメージを与える技術が発達している、など)。
呼吸法、気功、化勁などの内面(=内功)を重視するものを内家拳、筋骨や皮膚などのフィジカルな要素の鍛錬(=外功)を重視するものを外家拳と称する。
孫式太極拳開祖である孫禄堂氏によって提唱された概念である。
内家拳=柔、外家拳=剛のイメージがあるが、両者とも求める物は内功・外功ともに備えた「剛柔相済」であり、内家・外家をあまり明確に区別することはない。
中国語での外家は「出家」の意味があるため、仏門(主に少林寺)の流派を外家拳、在家または道家(道教)の流派を内家拳とする解釈もある。
昔から伝統的に伝えられてきたものを伝統拳、近年中国政府が国民の健康維持や競技としての普及を目的に作成した物を制定拳と称する。
素手を「徒手」、武器を「器械(兵器)」と称する。特に棍・槍・刀・剣の四種の武器は「四大器械」と称される。