パリ五輪で日本代表選手が最も多くのメダルを獲得した競技はレスリングだった。 金8、銀1、銅2。とりわけ女子は全階級でのメダル奪取という快挙だった。 振り返ればアテネ、北京五輪で銅メダルを獲得し、日本中を歓喜に沸かせた女子レスリング72キロ級の浜口京子は、父・アニマル浜口との親子鷹で大いに話題になったものだ。 むろんこの親子にとって、3度にわたる五輪出場までの道は厳しいものだった。 2007年9月、アゼルバイジャンで行われたレスリング世界選手権。 京子は2回戦でブルガリアのスタンカ・ズラテバ選手と対戦。 第2ピリオド残り30秒で投げ合うと、相手選手のローリングに3ポイントが入る。しかし、京子は無…