1997年発表の本書は、サイコサスペンス作家ディヴィッド・マーチスンの「テディ・キャメルもの」。代表作「嘘、そして沈黙」は、マニアの間で<ウソチン>と呼ばれた話題作らしい。その主人公で<人間嘘発見器>とあだ名されるのが元刑事のキャメル。本作の設定では55歳だが、それよりずっと老けて見えるという。 美しい妻と可愛い娘を持っていたが忙しく刑事稼業を続けていたキャメルは、妻の不倫と娘の妊娠という事態に慌て、それ以降「嘘」を憎むようになった。嘘を見抜く技術を身に付け、嘘には異常なほどの敵愾心を持つ。ただ、刑事を辞め私立探偵となったキャメルは、やや丸くなった。本書ではさほど嘘を憎むシーンや、見抜く技術を…