暗闇の中、一歩も動けない。 恐怖と絶望が心を包み込む。 登山中に遭難した私の足は怪我で動かず、周囲には誰もいない。 夜空の星だけが、冷たく光っている。 絶望の中で、ふと子供の頃の思い出が蘇る。 家族と過ごした温かい時間、友達と笑い合った日々。 「まだ死にたくない。もう一度、あの笑顔を見たい」 その思いが、私に生きる力をくれた。 這うようにして、わずかな光を目指して進む。 痛みと疲労で何度も倒れそうになったが、諦めずに前進し続け、ようやく避難小屋にたどり着いた。 夜が明けて避難小屋から見た景色は、言葉で言い表せないほど美しかった。 これまで味わったことのない達成感と幸福感に包まれた。 この経験は…