白虎堂

《巻三 東風還又》 阿房舞殿に 羅紗袖揺れる 金谷名園 玉楼起こり 隋堤古柳に 龍舟繋ぐ （それぞれの時代の栄華） 振り返るなどできようか 東風は今も吹くけれど 野の花の咲く晩春の時 美人烏江に身を投げる 戦火赤壁を焼き尽くし 玉門関に将軍は死す 秦漢の烽火に心傷つき 民は苦しみ 文人憂う ——元代·張可久《売花声·懐古》 （東風は革命の勢いを暗示する言葉のようです。和歌での春の季語『こち』とは無関係。） 第87章 告白： 七月七日、上梓之盟が締結されて十三年後、陳、西凉の間で再び紛争が起きた。 七夕の夜に起きたこの戦いは、夜空に走る稲妻の如く、一日もたたないうちに集結した。 それどころか、開…

第81章 危機一髪： 「その人は来ないよ。」段岭は再びそう言った。 駕蘭羯はもう何も言わずに、宙づりになっている段岭を見ていた。 段岭の方は煌めく星河を眺めながら、呟いた。「来ないに決まってるのに。」 駕蘭羯は言った。「やはり奴を知っているんだな。」 段岭は言った。「私が死んだら、彼にある物を渡してやってほしいんだ。今私の懐に入っているんだけど。」 駕蘭羯は疑わしそうに眉をひそめた。段岭は本当にその『無名客』なる人物が誰なのか知らないが、ちょっと騙してやろうと考えた。思った通り駕蘭羯はひっかかり、木の上からゆっくりと近づいてきた。段岭がその『無名客』を知っているような言い方をしたのは、ただ駕蘭…

第76章 縁と機会： 武独は庭に立ち、ゆっくりと長剣を抜き出した。 「昌流君、ことは急を要するのだ。俺の手を煩わせるな。」武独は冷たく言い放った。 牧磬は武独が冗談を言っているのだと思い、傍らに行ってそのまま蹴鞠を続けようとした。 だが、昌流君は気を引き締め、剣を抜いて二人は向き合った。 武独には牧曠達がきっとまだ府内にいるとわかっていた。彼は死を恐れる。昌流君を置いて自分だけ江州に先に行き行くなどあり得ない。 「いったいどうしたんだ？」牧曠達が楼上から問いかけて来た。「なぜ戻って来たのだ、武独？」昌流君は剣を収めたが、武独は剣を持ったまま、昌流君の全身の動きを見つめ続けた。 牧曠達は二人の間…

第56章 名乗りを上げる： 翌朝、雨はやんだ。段岭はあれこれ考え過ぎてよく眠れなかったが、無事に生き延び夜明けを迎え、夕べのことはまるで夢の中の出来事のように思えた。だが勿論あれは現実だったので、彼はこれからどうやって身の安全を計ろうかと考え始めた。 郎俊侠は四大刺客の一人だ。ということは、どんな時でも武独か昌流君、彼と同等の武功の持ち主の傍から離れないようにするか、少なくとも彼らの視線の届く範囲内にいるようにしなくてはならない。 勉強する時はどうしようか？一度考え始めると頭は素早く働き、すぐに結論を導き出した。郎俊侠はおそらく昼間行動には出ないはずだ。真昼間に丞相府に忍び込むなど危険すぎる。…

非天夜翔が好きすぎて自分が読むために２００話翻訳しました。万が一同じような趣味のかたが読んでおもしろいと思って下さったら是非原作を正規のルートで手に入れて読んでみてください。営利目的ではありません。要求があれば、すぐに削除します。 ーーー 第１９７章 金の玉簪： 姜恒は馬に飛び乗ると、界圭の方を向いて言った。「界圭、見てよ。彼はこれを私に返してくれたんだよ。」 界圭も騎馬した。「玉玦の片割れは人を喜んで死に向かわせます。よく話しあった方がよかったのでは。」（多分誤訳。你还是太好説話了点でした。） 「昔、あなたも片割れが欲しかったんじゃない？」 「言うまでもないでしょう？そりゃすごく欲しかったで…