慰謝料をふんだくるのを目的とした離婚訴訟が俄然増加の傾向を示すに至った発端は、大正四年にあるらしい。 皆川美彦が説いている。このとし一月二十六日、大審院にて画期的な判決が出た。 (Wikipediaより、大審院) 実質的な夫婦生活を送っているが、しかし正式な入籍手続きは経ていない、いわゆる内縁の妻だろうとも、これを離縁する場合には慰謝料の支払い義務が生ずる。すなわち「婚姻予約有効判決」。結婚をエサに女心をたぶらかし、さんざん都合よく使い、いいように弄んだ挙句、飽きたら棄てて顧みぬ、人間失格野郎に対しそうは問屋が卸さぬと胸倉とって迫れるようになったというワケだった。 慶賀すべき展開だろう。 「大…