眠りの航路 (エクス・リブリス) 作者:呉明益 白水社 Amazon 『眠りの航路』呉明益著 倉本知明訳を読む。 本作がデビュー作なんだ。 主人公の「ぼく」は、記者を辞め、台北でフリーライターをしている。村上春樹言うところの「文化的雪かき」。このところ、睡眠障害に悩まされている。病院で診てもらっても快方には向かわない。「ぼく」の話と父親がかつて創氏改名により三郎となって、少年工として高座海軍工廠で働いていた話が入れ子になって展開する。 父親は長年住んでいた中華商場が取り壊された日に行方不明となる。「ぼく」は、紹介された睡眠障害の日本人の専門医・白鳥を受診して、ついでに父親が話さなかった時代を追…