訓読 >>> 1600妻恋(つまご)ひに鹿(か)鳴く山辺(やまへ)の秋萩(あきはぎ)は露霜(つゆしも)寒(さむ)み盛り過ぎゆく 1601めづらしき君が家(いへ)なる花すすき穂(ほ)に出(い)づる秋の過ぐらく惜(を)しも 要旨 >>> 〈1600〉妻を恋い慕って牡鹿が鳴く山辺の秋萩は、露霜の寒さに盛りを過ぎ色褪せていく。 〈1601〉親愛なるあなたの家の花すすきがいっせいに穂を出している秋、その秋が過ぎ去ってゆくのが惜しくてならない。 鑑賞 >>> 石川広成(いしかわのひろなり)の歌。天平15年(743年)頃に内舎人、天平宝字2年(758)8月に従六位上から従五位下、同4年2月に高円朝臣を賜姓さ…