こんなおとぎばなしが西洋にある。 どこぞの小さな国が舞台だ。王と王妃が登場するから、王制を採択していたのは疑いがない。夫婦仲は良好で、国民からも慕われていた。 が、なにもかも順風満帆であってくれては、それこそ物語として発展する余地がない。必要なのは問題である、試練である。艱難が立ち塞がってこそ、その攻略の意志に燃え、知力腕力あらゆる力を振り絞る人の雄々しき姿も見える。詩に歌に、芸術を育む土壌とは、得てしてそんなものだろう。 ご多分に漏れず、この王家にも問題があった。仲睦まじさに拘らず、なかなか子宝に恵まれぬ。なにやら「いばら姫」を想起させる構図である。 いばらの王 -King of Thorn…