二十五 家に着くと、いつものようにきくが出迎えてくれた。この三つ指の出迎えが見たくて、富樫は僕よりも先に玄関に入った。 きくは富樫を見て、「いらっしゃいませ」と言った。そして、僕が入って行くと、三つ指を付けて「お帰りなさいませ」と言った。 富樫が「お前が羨ましい」と言った。 「どうぞ、お入りください」ときくは富樫に言った。 富樫は「お邪魔しまーす」と言って家に上がった。そして、きくの案内でリビングに入って行った。 僕は玄関を上がると、リビングに顔を出して、富樫に「剣道の道具をしまったら、シャワーを浴びる。その後で来るから待っていて」と言った。 富樫は「全然、構わないよ。ゆっくりシャワーを浴びて…