所用のあった川崎から南武線で引き返さずに京浜東北線で横浜に南下移動し、山下公園の入口の向かい側に建つ神奈川県民ホールにまで足を運んだその目的は、大山エンリコイサムの個展『夜光雲』を観るためであった。地下1階からの順路になっている、最初の同形の2つに分かれた展示スペースでは、《レタースケープ》#1、#2がそれぞれの場所で絵巻物の体をなした細長い形に合わせて作られたであろう、腰位置の高さをもった台座に置かれている。文字体の差異は日本語と非日本語の異言語の間だけでなく、草書らしき文字も所々に出現しているように現在と過去の間からも可視化され、手紙の断片がパッチワークされた凸凹な平面に多元的な表象と時空…