中学校の卒業当夜、15歳の少女が自宅で滅多刺しにされて殺害される。物証も自白もないなか、脆弱な目撃証言の積み重ねのみで殺人犯とされた冤罪が疑われる事件である。 事件の発生 1986年(昭和61年)3月20日午前1時半頃、福井県福井市豊岡2丁目に住む飲食業・高橋静代さん(当時39歳)が市営住宅2階の自宅に帰ってくると、6畳間で二女・智子さん(15歳)が血まみれになって死んでいるのを発見し、福井署に届けた。智子さんがK中学校を卒業した晩の出来事だった。 静代さんは6年前に離婚して、長女(当時18歳)は父方に引き取られており、スナックに勤めながら二女の智子さんと2人暮らしだった。19日は午前中から揃…