又吉直樹『火花』 今日は読書の話題で、最近読んだ本2冊の感想。 1冊目は又吉直樹の『火花』。9年前の芥川賞受賞作品で、当時、お笑い芸人が大きな文学賞を受賞したということで大きな話題になった。いつか読もうと思っているうちに結構間が空いてしまった。 芸人の世界を描いた作品というくらいの予備知識はあって、何となく芸人たちの群像を描いているようなイメージがあったのだが、違っていた。描かれているのは語り手の売れない若手漫才師の「僕」(徳永)と先輩芸人神谷との関係だ。一見天才肌で破天荒に見えるが弱さを抱える神谷に惹かれ、芸人としての過剰な自意識を持て余しながらも、誠実に生きていこうとする「僕」の姿が描かれ…