ここで、マルゼルブについてあらためて紹介しておくと、有力な法服貴族の家に生まれ、1750年、父ラモワニョンが大法官になったのにともない、同年租税法院院長およびDirecteur de la librairieに就任した。租税法院院長時代に行った建言は評判が高く、ルイ16世が即位すると宮内大臣に任命され、それは短期間で辞するが、フランス王国が危機の様相を高めた1787年、国王に請われて再度国務大臣となる。しかしこの時もマルゼルブの考えは国王や他の大臣には受け入れられず、88年に大臣を辞してなかば引退する。革命が起こり、ルイ16世の裁判が始まると、誰も引き受け手がなかったルイ16世の弁護人をすすん…