寒声や野山の女神に届くまで (安倍川の河川工事 2020.12撮影) 静岡には民謡がないね、ちゃっきり節と農兵節くらいなものか、と人は言う。けれど、茶摘み歌も田植え歌も盆踊り歌もあったはずであるが、静岡はそれをうまく残し伝えなかっただけだ。 民謡クラブにはいると、マイナーな地元の歌をいろいろ教えていただいくことができた。「日坂馬子唄」「小夜の中山節」「大井川蓮台越しの歌」「安倍川いかだ流し歌」などで、いずれも地元に残っていた鄙びた歌を、歌いやすいように作り直したものだ。私は堤防に出て発声練習をするのだが、山や川に向かってこの地の歌を歌うと、風や土や光と一体になる気がしておおらかになれる。 今回…