🍂【源氏物語544 第16帖 関屋5】右衛門佐(小君)を呼び出し、姉の空蝉に手紙をことづてたいと言った。恋を思い捨てない源氏に右衛門佐は驚いていた。 〜佐《すけ》を呼び出して、 源氏は姉君へ手紙をことづてたいと言った。 他の人ならもう忘れていそうな恋を、 なおも思い捨てない源氏に右衛門佐は驚いていた。 あの日私は、 あなたとの縁は よくよく前生で堅く結ばれて来たものであろうと感じましたが、 あなたはどうお思いになりましたか。 わくらはに 行き逢《あ》ふみちを 頼みしも なほかひなしや 塩ならぬ海 あなたの関守《せきもり》がどんなにうらやましかったか。 という手紙である。 🍂【源氏物語545 第…