マレーシアの現地スタッフが気持ち良いのは、発生した不満を解消したり飲み込んだりせずに、本当に次々と辞めてしまうところだ。料理長のことが信じられなくなりました。うん、僕も、そんなの私もよ、と立て続けに辞めていくのだ。~中略~。個人の意思を抑えて、集合体のスローガンを優先するシステムが個人のOSにアプリケーションとして内蔵されているらしい。多様性が、その時々の一律性を育んでいくのだ。マレーシアのパン屋のように、次々と辞めていかない日本の国民性とも言える。辺見庸が言う「自分で少し自信がないなと思っても、声をあげて言う」というシンプルな宣言に勇ましさを覚えなければならないほど、声をあげることへの弱体化…