平成30年丸善京都本店で、岩田真美・桐原健真編『カミとホトケの幕末維新:交錯する宗教世界』 (法藏館、平成30年11月)の刊行記念講座が開催された。私は、そのうち引野亨輔・碧海寿広両先生の「本屋と仏像の明治」を拝聴。引野先生は、「皆さん、中公新書『仏像と日本人』を出された碧海先生目当てでしょうが~」と謙遜しておられた。いやいや、私は引野先生の発表も目当てでした。特に印象深かったのは、西洋流印刷術が明治20年代には一般的になっていたという通説に対して、東京と京都で出版された仏書について活版と木版の数量分析による比較を行い、京都ではそうではなかったことを明らかにしたことであった。 この数量分析は前…