第1 DのBに対する請求 (1)支払済代金500万円の返還 BはDに対し、甲を500万円で売却しているが、Bは、甲の所有権を有していないから、BD間の契約は他人物売買契約となる。そのため、Bは、甲の所有権を取得しDに移転する義務を負う(561条)。しかし、甲の所有者であるCがDに対し返還を求めている以上、かかる債務は履行できず、「債務の全部の履行が不能であるとき」(542条1項1号)にあたる。また、DはBに対し解除の意思表示をしている。 したがって、Dは、解除に基づく原状回復請求権(545条1項)の行使として、本件売買契約における代金500万円の返還を請求できる。 (2)増加代金分の費用40万…