今しがた松下真先生の『統計分布を知れば世界が分かる』(2019)を読了し、読後感をまとめようとキーボード入力を開始したところであります。本書は碩学の啓蒙書だけあって面白く要を得て勘どころも教えてくれる。 統計分布の基本と自然界と社会への実際の適用がわかりやすい。しかしながら、主題は複雑系とべき乗測の出現の普遍性の提唱であって2010年を過ぎてもなお、格段のなかったことが本書からうかがい知れる。 タイトルは出版社がつけたにせよ統計分布だけでは次の一手にはならないのだと思う。 本書の後段に筆者がまとめているように「複雑系の構造とダイナミクス」に踏み込む必要性がある。しかし、それらはほとんどコンピュ…