多くの要素からなり,部分が全体に,全体が部分に影響しあって複雑に振る舞う系。従来の要素還元による分析では捉えることが困難な生命・気象・経済などの現象に見られる。高精度の測定技術,カオス・フラクタルなどの新概念の導入,コンピューターの活用などによって新しい研究対象となりつつある。
三省堂提供「デイリー新語辞典」より
class:部品 ■ 現象 要素同士が網の目のように影響し合う複雑系において、個別の要素へ分解する手法は系全体の挙動を見失わせる原因となる。事象を要素に還元せず多次元の状態のまま保持して評価することで、非線形な変化に対応する処理機構が成立する。 ■ 背景 単一の指標による管理が局所最適化を引き起こし全体を脆弱化させること 変数の切断が隠れた相互作用による意図しない反動を生み出すこと 要素の合計が全体の挙動と一致しない非線形な特性が存在すること 【構造】 複数変数の同時発生 ↓ 因果関係の非線形化 ↓ 要素還元の保留 ↓ 多次元の相互作用としての状態保持 ↓ 構造全体を反映した評価と対処 ■ 観…
class:上位部品 ■ 現象 要素間の相互依存と動的フィードバックを持つ複雑系に対し、特定の指標を標的にした最適化を行うと、系全体が予期せぬ挙動を示す。 局所的な効率向上と引き換えに全体の安定性や柔軟性が失われ、結果としてシステムが最適化の試みそのものを拒否する現象が生じる。 ■ 背景 構成要素が非線形に相互接続され単一の因果関係に収まらないこと 特定の状態に最適化することでシステム内の冗長性や遊びが排除されること フィードバックループにより意図しない側面へ変容圧力が波及すること 外部環境の変動に対する適応の選択肢が局所最適化によって削られること 【構造】 複数要素による相互依存と動的結合 …
複雑系という研究分野があります。「系」とは「システム」の意味で、複雑な生命現象や社会現象をシステム全体として理解することを目指すものです。 と、このように表面的な説明をすると、通常のやり方では歯が立たない複雑な現象を明快に説明出来る画期的な研究だと勘違いされるかもしれません。ですが、実態は全然違います。定義が曖昧な用語ですが、基本的には数理モデルと数値計算(コンピュータシミュレーション)を主体とした研究です。かつては数理研究の主流の一つでした。しかし、ビッグデータの時代が到来し、データ科学が隆盛を極める中で、複雑系の研究は勢いを失っていきました。例えるなら、かつての花形産業であり、現在の斜陽産…
【上位部品】 ■現象 複雑系は大量の観測を行っても全体像を完全には把握できない。 ■背景 要素数が膨大である 要素同士が相互作用している 関係性は時間とともに変化する 観測自体にもコストが存在する 観測者の認知能力は有限である 未来の状態は現在から完全には導出できない ■観測 生態系の長期変化を予測できない 経済危機の発生時期を正確に予測できない 社会制度の副作用を事前に把握できない 組織改革の結果が想定通りにならない 情報環境の変化を完全には予測できない 気候変動の地域影響を完全には予測できない ■影響 代理観測が必要になる 評価系が簡略化される 部分観測による判断が増加する 予測誤差が蓄積…
先日読んでいた本「抵抗」の後書きに「大置換」という言葉があった調べることもなく読んでいたが、それでも気になって調べてみたそれはフランスの作家、ルノー・カミュの提唱した考え方で政治的には主に右派・極右の言説の中で使われることが多い概念とあったざっくり言えば、西欧社会において移民(特に非欧米系やイスラム圏出身者)が増えることでもともとの「先住的・伝統的な国民」が人口的に少数派になり文化や価値観、国家の性質が「置き換えられてしまう」という不安と危機感を説明する概念のようだこれは西欧に限らず、最近の日本でも目にする出来事のように思われるつまり、移民政策への反対の根拠として使われているそしてそれは「自国…
金重明著、ブルーブックスの「複雑系」入門(2023年発行)を読む。 相対性理論や量子力学とはまた違って、全く異なる形で世界を説明しようとする理論として複雑系の科学と言うのがある。どんなものか気になって、最近書かれた大まかな解説書を探し上記の本を読んでみた。ブルーブックスなら素人でも分かるだろうと思ったが、理論の解説となるとやはり頭が痛くなりそうで、読み飛ばしながら読んだ。それでも不思議な理論に心が動かされる。忘れてしまわないうちに、自分なりに面白いと思ったところを抜き出して、記録として残しておきたい。 0.連続型力学系と離散型力学系 本には書かれていないが、大まかに相対性理論や量子力学の世界は…
世界は変わりました。これまでは自身の才能よりも、周りに合わせて能率の良い仕事が出来るかどうかが大切でした。しかしこれからは違います。現在は勝者総取りの世界です。全てを手に入れるか取られるかのどちらかなのです。このような世界で何の取り柄もない者はどう生きていけば良いのでしょうか。 今まで人々は、与えられた仕事を存分に頑張れば良かったのです。しかし努力してもそれに見合う報酬が得られない世界となりました。それどころか大きな変動に見舞われて食べていけなくなる事さえあります。これからの世界は、誰も予想がつかないのです。 大規模なプロジェクトが多くなりプロジェクト管理手法も重要となっています。けれどもひと…
今しがた松下真先生の『統計分布を知れば世界が分かる』(2019)を読了し、読後感をまとめようとキーボード入力を開始したところであります。本書は碩学の啓蒙書だけあって面白く要を得て勘どころも教えてくれる。 統計分布の基本と自然界と社会への実際の適用がわかりやすい。しかしながら、主題は複雑系とべき乗測の出現の普遍性の提唱であって2010年を過ぎてもなお、格段のなかったことが本書からうかがい知れる。 タイトルは出版社がつけたにせよ統計分布だけでは次の一手にはならないのだと思う。 本書の後段に筆者がまとめているように「複雑系の構造とダイナミクス」に踏み込む必要性がある。しかし、それらはほとんどコンピュ…
ゲノムが語る生命 ―新しい知の創出 – 集英社新書 の参考文献にあがっていたもののうち、特に注目したいものを紹介します。 『〈身〉の構造 身体論を超えて』(市川 浩):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部 『知の構築とその呪縛』大森 荘蔵 | 筑摩書房 『心はどこにあるのか』ダニエル・C・デネット | 筑摩書房 生命とは何か « 大学出版部協会 おまけ 中村前掲書p80 「科学が進歩するとは、説明できることが多くなることだという思い込みがありますが、研究が進むほどに、わからないことが増えると考えた方がよいかもしれないのです。」 以上です。 12/27追記 『言葉と無意識』(丸山 圭三郎):講談…
2019年度東大入試国語では、中屋敷均『科学と非科学』が出ました。 https://www.greatvoyage.jp/database/tokyo/2019_kokugo_daiichi_kaitou/ 東大現代文2019第1問解説|普通の東大生 ねこ 中屋敷 均 Hitoshi Nakayashiki | 現代新書 カオスの縁という言葉が特徴的です。 カオスの縁 - Wikipedia ここに引かれるカウフマンは 1076夜 『自己組織化と進化の論理』 スチュアート・カウフマン − 松岡正剛の千夜千冊 でも有名。 また、カオスの縁は Category:複雑系 - Wikipedia の中…