わっはっはっは、酷宝です。私が茶菓子など頂くときに愛用している墨絵皿。雨に煙るような樹林がほぼ意図さえ持たぬように配されてそこはかとない雰囲気を漂わせております。いったいどなたの作でしょうか。 丸い皿や茶碗のことですから真上から眺める限りどこが上下ということはありません。これもちょっと観方を変えてやるとまた味わいがあります。 なんということでしょう。物、事、象の味わいはかくの如しであります。人はその感性風流に応じ、木の葉の揺れに瞬を感じ、壁の染みにも暗示を読み取り、朽ちる姿に無常を抱くのであります。またもや祇園精舎の鐘の声が遠鳴りで私の頭に聞こえてくるではありませんか。