青い真珠が一粒、清潔なシーツの上に横たわっているものと思われた。 純子はためらいとやましさの浜辺に、畏怖の波が押し寄せてくるのを、心中に確かに感じていた。彼女の美しさはたびたび純子をそのような思いに駆り立てた。分厚い遮光カーテンの外は夏まっさかり、湿気を帯びて重たくなった亜熱帯の空気が都市全体に滞留し、森から追いやられた蝉がコンクリートの壁で窮屈そうに鳴き、ほとんど直上の太陽が、人やものをみんなバーベキュー台にかけている、そうした季節が猛威を振るう中、青八木一は、いっそ冷たさすら覚えるほどの怜悧な美徳をたたえて、床上にて恋人を待っていた。 薄いドアの向こうで、エレベーターのチンと鳴る音がする。…