第1章 自殺未遂者 静かな寝室で、一人の青年がベッドに横たわり、天井を眺めていた。彼の名は奏汰(そうた)、25歳。無気力でやるせない日々を送っている。 「死にたい」 奏汰は呟いた。それは彼にとって、もはや口癖のようなものだった。生きたいという願望が湧かない。ただ虚無感に支配され、このまま消えてしまいたい。 カウンセリングルーム。奏汰は医師の前に座っていた。 「また自殺未遂をしたそうですね」 冷静な口調で医師は問いかける。奏汰は黙って頷いた。 「なぜ未遂に終わるのですか?本当に死にたいのでしょうか?」 医師の問いに、奏汰は答える。 「...死にたい。でも、怖いんだ。死ぬのが怖いっていうより、死ぬ…