1572年8月にフランスで起こったプロテスタントの大量殺害事件<聖バルテルミーの虐殺>を詳解した歴史書、『聖バルテルミーの大虐殺』(フィリップ・エルランジェ著、1960年、日本版編訳・磯見辰典、白水社、1985年)を読んだ。 複雑な16世紀フランス宮廷の動きを追った『聖バルテルミーの大虐殺』 聖バルテルミーの虐殺は、16世紀にヨーロッパ全体を揺り動かした宗教改革、宗教戦争のさなかにフランスで起こった事件で、8月24日の聖バルテルミーの日の早朝の教会の鐘の音を皮切りに、パリに集まったカルヴァン派のプロテスタント(フランスではユグノーと呼ばれる)が、老若男女を問わず大量に殺害され、また虐殺は地方に…