はじめに:21世紀は“心の時代” 「21世紀は心の時代だ」とよく言われます。モノの豊かさを求める時代から、内面的な充実や、自分らしい生き方を重視する時代へと、私たちの価値観は変化してきました。 確かに、今でも「経済的な豊かさ=幸福」と考える人もいるかもしれません。しかし一方で、たとえ苦しい状況にあっても、自分なりの目標や意味を見出し、人間としての幸福感を感じながら生きることの方が本当の幸せだと捉える人も増えてきました。 このような幸福感――すなわち「ウェルビーイング(well-being)」は、臨床心理学が深く関わる大切なテーマの一つです。 現代型うつと若者たちの苦しみ この“心の時代”は、同…