気に入らぬ風もあらふに柳哉 仙厓 岐阜県の農家の子が地元の臨済の禅寺で得度して小僧になったのは十一歳で、十九歳のとき神奈川県の寺へ移って本格修行に入る。師より印可を受け、寺を出て独り行脚の旅に出たのが三十二歳で、福岡県の寺へは三十九歳で入る。小僧時代を含めて、ここまで二十八年間の修行だった。以後引退までの二十三年間を住職として過した。 仙厓が画筆を執ったのは四十代後半からというから、住職として寺に落着いてからの画業ということになる。人を食ったユーモアと、達者なんだか乱暴なんだか得体の知れぬ豪快な筆致は初めからだが、それでも初期の画題は菩薩であり達磨であり、七福神であり寒山拾得である。つまり仏画…