深く思い出を刻み込んだ彼は前を向いて歩いていった。 彼が一歩ずつ、あるいは半歩ずつ、あるいは4分の一歩ずつ日々を過ごしてきたなかで、堆積していった感情はもはや僕には理解できないものだ。 僕が自転車に乗ってあの公園に行くと、彼は遅いぞ、と言う。 僕が生まれる前に起きたことを僕は知らない。 だから学ぶということが出来る。 僕が死んだ後のことなんて何も分からない。 だから僕は今を生きていられる。 これは僕の記録で彼の軌跡で、彼女の言葉だ。 春を行くあなたへ。 辛いことはあります。 苦しいこともあります。 死にたくなります。 誰かを殺したいほど憎むかもしれません。 生きることが不思議に思うでしょう。 …