この二、三日間に宮中であったことを語って聞かせたり、 琴を教えたりなどしていて、 日が暮れると源氏が出かけるのを、 紫の女王は少女心に物足らず思っても、 このごろは習慣づけられていて、 無理に留めようなどとはしない。 左大臣家の源氏の夫人は例によってすぐには出て来なかった。 いつまでも座に一人でいてつれづれな源氏は、 夫人との間柄に一抹《いちまつ》の寂しさを感じて、 琴をかき鳴らしながら、 「やはらかに寝《ぬ》る夜はなくて」 と歌っていた。 左大臣が来て、 花の宴のおもしろかったことなどを源氏に話していた。 「私がこの年になるまで、 四代の天子の宮廷を見てまいりましたが、 今度ほどよい詩がたく…