憲法一九条は,「思想及び良心の自由は,これを侵してはならない。」と規定する。旧憲法には,これに対応する規定はなかった。 本条は,民主主義の基礎になるとともに,人類の発展の源泉である,人間の精神活動の自由に対して,包括的,かつ,原則的な保障を与えた。 同条は,思想と良心を並列的に扱っているが,いずれも,人間の内心のあり方とか,人間の精神に関することであって,一般的には区別の実益は少ないと思われる。 強いて区別するとすれば,思想は,体系化された考え方という論理的な意味をもった概念であり,良心は,その人にとって放棄することができない考え方という倫理的な意味をもった概念であるといえる。 保障の内容 保…