童話『銀河鉄道の夜』において,ジョバンニたちが最初に到着する天の野原は,天上世界の中では最も美しい場所である。本稿は,前稿に引き続き,天の野原に登場する光輝く植物(ススキ)と建造物について考察する。建造物のうち,「三角標」に関してはそれが具体的に何をイメージしているかも示したい。以下に前報と同じ引用文を記載する。 ジョバンニは,白鳥と書いてある停車場のしるしの,すぐ北を指しました。 「さうだ。おや,あの河原は月夜だらうか。」 そっちを見ますと,青白く光る銀河の岸に,銀いろの空のすゝきが,もうまるでいちめん,風にさらさらさらさら,ゆられてうごいて,波を立ててゐるのでした。 「月夜でないよ。銀河だ…