図書館の新着本のコーナーに島薗進著「死生観を問う」という本が並んでいた。宗教学者である氏の本を何冊か読んだことがあった。 この本の中に表題の西行の詩が載せてあった。西行は平安時代末期から鎌倉時代初期に和歌で活躍した僧侶である。 大意は もし桜が散ることもなく、満月が雲に隠れることもなければ、物を思い煩うこともなかっただろうに 出典は「山家集」の春歌の段からである。 この歌を読んだとき、頭が混乱した。その理由の一つは、二重否定を使っているからだが、より混乱したのは、物を思わない、つまり、思い煩わない、ことを困ったことと思っているのか、それとも反語的にそれが良いのだ、と評価しているのか良く分からな…