主人公・北一は3歳のとき 母親から捨てられたように手放され 文庫屋の”岡っ引き千吉親分”の元で16歳まで育てられました。 才覚も人望もあった千吉親分が46歳であっさり亡くなると ”朱房の十手”も本所深川の同心・沢井様にお返しし 目の見えない千吉親分のおかみさんの”若葉”と 小柄で髪が薄くて髷も結えない下っ端弟子の北一が残されました。 千吉親分の文庫屋を継いだ一番目の兄弟子の下で 北一は”朱房の文庫”を売りながら 岡っ引が不在となり揉め事が持ち込まれるようになった深川の差配人・勘右衛門の「富勘長屋」に住み 富勘と共に岡っ引の真似事をして深川を走り回ります。 ある事件でもう一人の”きたさん”と呼ば…