鏡の国の孫悟空 (東洋文庫0700) 作者:董若雨 平凡社 Amazon ★★★ 芭蕉扇を使って火焰山を鎮火させた後の話。一人で托鉢に出かけた孫悟空は、いつの間にか時代が新唐王朝に入っていることに気づく。そこの宮廷で駆山鐸の噂を耳にした悟空は、その所有者である秦の始皇帝を探すのだった。捜索の途上で青々世界の万鏡楼にたどり着いた悟空は、鏡の中に入って不思議な体験をする。 「天よ、天よ、悟空は仏法に帰依してから、情と短気を押さえ、一人だってむやみに殺したことはなかった。今日は突然憤怒にかられ、妖怪でもなく強盗でもない、男女老幼五十人あまりの命を奪ってしまった。罪業の深さを忘れ去っていたわ」(pp.…