大学時代、茶道部に在籍していたことから、春合宿の京都で、茶道のお家元をいくつか訪問させていただいたことがある。 薮内流燕庵(やぶのうちりゅう、えんなん)を訪ねた時は、当時の私達と歳頃が似ているということからか、ちょうど、現お家元、藪内紹智先生が応対して下さった。明かり障子を背にお一人、静謐な空間にお座りになってお迎え下さった。誠実なお人柄が滲み出て、穏やかな中にも凛とした佇まい。あの光景は、一幅の「止め絵」のように記憶に刻まれている。 燕庵を後にしながら、私たち部員同士で、「さすが武家の流れを引くお家元だね。かっこいいなあ。」などと、感動を話し合ったものだ。 以後、TVなどで薮内流と見かけるた…