前回、イーヴリン・ウォー/吉田健一=訳『黒いいたずら』(白水Uブックス)のことを話題にしたが、「白水Uブックス」で思い出したことがある。 昨年わたしは、「コリン・ウィルソンが語るアナトール・フランス」というエントリで、「フランスの作品としては少くともあと一つ、『タイス』だけは、生涯のうちに読んでおきたい」などと書いたが、その『タイス』を過日、白水Uブックス版ですんなり入手することができたのであった。 『タイス』がかつて角川文庫版で出ていたのは知っていたけれど、容易に入手のかなわない代物だということは判っていた。いずれどこかで見つかるといいが……などとのんびり構えていて、一年に一度はかならず立寄…