櫛挽道守 (集英社文庫) 作者:木内昇 発売日: 2017/01/13 メディア: Kindle版 時代は幕末。木曽山間の藪原宿は「お六櫛」と呼ばれる梳櫛の産地である。代々、櫛挽を家業にする家が多いが、なかでも悟助の櫛挽は、神業とも神州一ともいわれるほどの見事さだ。父の技に魅せられた悟助の長女、登瀬は、母の松枝や妹の喜和の苦言にも関わらず、櫛挽にのめり込んでいく。けれども、女に家業を継ぐことはできない。母の仕事を覚え、父母の決めた相手と所帯を持つのが女の務めなのだ。「仕方ない」と女たちは言う。代々の女たちが「生まれ落ちたときから、また人によっては悪あがきの末に、身をゆだねている言葉なのだろう」…