最初てっきり、エミリーとシェイドラックの話だと思ったのである。その二人の恋愛から始まったので。中盤で分かったのは、主人公が嫉妬深いジョアンナであるということであった。しかし、より本質的な作者の関心は、嫉妬深い性質が人にもたらす不幸であろう。なぜ、エミリーとシェイドラックが根っからの善人であるのか?それは、作者がどうしても、嫉妬深い性質そのものを糾弾したかったからではないかと思う。なぜなら、周辺人物が悪人であれば、読者は彼らのせいで不幸になったという主人公の主張に耳を貸すことになるだろうから。エミリーとシェイドラックが善人であればこそ、ジョアンナの嫉妬深い性質がそれ自身の力で不幸を呼び寄せたのだ…