『銀河鉄道の夜』にはたくさんの「三角標」が登場してくるが,それぞれの「三角標」に対するイメージは,物語の場面で異なる(石井,2014)。地上にある時計屋の星座早見を飾っていた三角形の「アスパラガスの葉」が天上で「三角標」に変るのだが,その「三角標」も,銀河鉄道の列車が欧州の風景の中を通過しているときはロマネスク様式やゴシック様式の「教会堂」の「鐘楼」や「尖塔」を,そして北米東部の風景の中を通過するときはネオゴシック様式の「教会堂」に似せた商業用の超高層ビル群や工場群の「煙突」を,そして「蝎の火」と「楊の木」が登場する最終場面では冷たい鉄でできた巨大な「送電鉄塔」をイメージできるよう徐々に変化し…