Key words:文学と植物のかかわり,発想の原点,ほんとうの幸,自己犠牲,近代科学,三角標,楊 ジョバンニが夢から覚める時に見た「赤い腕木」を持つ2本の「電信ばしら」は,「A」の形をした高圧送電線用の「電力柱」の可能性が高いと思われる。しかし,なぜ賢治はジョバンニが夢から覚める時にこの「電力柱」を出してきたのだろうか。私は,眠りから醒める時に現れるという特異さから,この「赤い腕木」の2本の「電信ばしら」は,逆に時間を遡って眠りに入ろうとした時にジョバンニが見た幻影としての「天気輪の柱」の中の「三角標」や,夢の中で繰り返し姿を変えながら登場してくる沢山の「三角標」と関連があるのではないかと思…